フェルミ推定は、本来では算出できないものを算出し、推定値として回答するものです。
非常に難しい問題が出題される場合があるなど、多くの力が求められる方式となります。
採用している企業もあるため、しっかり対策を立てておきましょう。
この記事では、フェルミ推定について説明します。
また、フェルミ推定を採用している業界や企業、そしてフェルミ推定の問題例などについても解説します。
フェルミ推定は、社会で必要とされる能力を問うために採用されている試験です。
社会人が会社で必要な能力をある程度検査できるように設定されている他、実践的に使える能力を確認できるという意味で用いる企業があります。
この形式で出題されている内容は、一般的に予想もできないような数字を概算するものとなっております。
例えば、
など、本来では計算しようがない問題について、論理的思考によって推定値を算出し、これを回答することになります。
フェルミ推定を採用している企業は、社会的実践能力がどれだけ確保されているか、確認するために利用しています。
フェルミ推定を採用している業界としては、コンサルティング会社があります。
コンサルティングでは、クライアントの抱える問題を洗い出し、それに対する様々な推定を行った上でプレゼンを展開し、最終的に企業を計画したプラン通りに動かしていきます。
「仮説思考」、「問題解決力」、「論理的思考力」、「論理的説明力」などの能力が業務を行う上で必要となります。
様々な論理的思考が求められる業界ですので、フェルミ推定を利用して実践力があるか判断する傾向があります。
また、投資銀行もフェルミ推定を採用している傾向があります。
投資銀行とは、主にクライアント企業に資金調達やM&Aのアドバイスを行う企業のことを指します。
中でも、フェルミ推定の能力が必要とされている部門はIBD(投資銀行)部門です。
投資銀行もコンサルティングと同じように、投資先に対して推定などを用いた説明が必要となります。
投資銀行の担当者がクライアントに提案した内容次第で、その企業が倒産したり、大きく成長したりします。
これから入社する社員についても、しっかりした能力が確保されているか判断するため、フェルミ推定で確認を取っているのです。
フェルミ推定を採用している企業を紹介します。
この他にも外資系企業や投資銀行が採用している傾向があります。
仮説思考とは、自分なりに、仮説を立てて物事を考える考え方のことです。
フェルミ推定のように、少ない情報から、答えを導き出すためには、仮説を立てるプロセスが少なからず必要になります。
情報やデータがない中で、自分なりに仮説を立て、数値を計算していく必要があります。
ビジネスにおいても、明確な答えが決まっているケースはほとんどありません。
自分の持つ、限られた情報から仮説を立て、答えを出さなければなりません。
このように、仮説思考は、実際に仕事をする上でも重要な考え方です。
この仮説を立てるプロセスが多くの面接管が評価するポイントとなっています。
問題解決力とは、俯瞰的に問題を捉え、重要な問題を発見し、解決する能力のことです。
このような能力は、実際の仕事でもとても重要な考え方とされています。
仕事に就くと、課題は大量にあります。
しかし、そのうちの1つの課題を解決することで複数の課題を解決できる場合もあります。
このように、どの課題を解決するか判断できる能力を身に付けていれば、効率よく、質の高い仕事を行うことができるようになります。
フェルミ推定のように、明確な解答がない難題を前に思考を止め、諦めててしまう就活生もいます。
しかし、そんな問題でも、主体的に取り組み、自分なりの解答を出すまで、考え抜くことができる学生は大いに評価されます。
業種問わず、やり切ることができる人材はあらゆる仕事で必要とされます。
論理的思考力とは、思考を整理し、順序立てて考える能力のことです。
面接管は、思考プロセスを見て、論理的思考力の有無を評価します。
自分が導き出した解答のプロセスで、曖昧な語句の定義や根拠のない解答などがあれば、面接官の減点対象とされる可能性があるので注意が必要です。
論理的思考力は、仮説思考・目的思考を意識することで身に付けられます。
仮説思考とは、日常で起こる様々な事象に対して自分なりの仮説をもって日々思考することです。
次に、目的思考とは、自分の行動1つ1つに目的を持ち、それを意識する思考のことです。
論理的思考力は簡単に身に付けられるものではありません。
これらの思考方法を意識して生活し、習慣化していくことで、徐々に身に付けられます。
論理的説明力とは、相手に自分の考えをロジカルに分かり易く伝える能力のことです。
いくら素晴らしい解答を導き出せても、面接官に十分に伝え、納得させることができなければ、評価してもらえません。
うまく伝えることができなければ、評価されるどころか、減点対象となってしまう場合もあります。
面接管に十分に伝えるためには、結論から、端的に、伝わりやすい順番で話すことが重要です。
さらに、話す順番に自分なりの型を作っておくと、より伝えやすくなります。
友人や家族などとの何気ない会話で、これらのことを意識し、習慣化まで落とし込みましょう。
そうすれば、面接でも問題なく力を発揮することができます。
修正力とは、状況に応じて修正する能力のことです。
いくら問題集などで演習を積んだとしても、本番で緊張してしまい、満足のいく回答を導き出すことができないこともあるでしょう。
そんな状況の時に、相手の意見を聞き、それを元にどれだけ修正することができるかが選考通過の明暗を分ける場合があります。
さらに、グループディスカッションでも修正力は重要です。
自分の意見に固執して発言するより、チームメンバーとのディスカッションで得た考え方や情報を積極的に取り入れましょう。
柔軟に取り入れた上で、発言すると面接官から高い評価を得られます。
ここからはフェルミ推定の問題例と解答を見ていきましょう。
簡単な問題から確認し、難しい問題にも挑戦できるようにしていきましょう。
この問題については、男性と女性が半分に分かれていると予測し、最終的な数値を推定します。
日本の総人口は1.2億人と推定されていますので、その半分である6,000万人が女性だと判断できます。
よって答えは6,000万人です。
普通に計算するとわからない問題ですが、50平方メートルに1本くらいは電柱が配置されていると予想します。
これを1キロ平方メートルに置き換えると200本程度の電柱が存在すると推定されます。
後は日本の国土全てに電柱が置かれているわけではないため、置かれていない場所を差し引いて電柱の数を算出するだけです。
日本は半分程度が山岳地帯や森林となっていますので、こうした場所を差し引くと20万平方キロメートルに電柱が置かれていると推定できます。
後は200本×20万平方キロメートルで計算すると、日本に置かれている電柱は4,000万本程度と推定できます。
この問題は実際に出されるレベルとなっていますので、このような問題を中心に解答していくと実力をつけられるでしょう。
他にもこのような問題が出題されます。
普通に考えれば計算するのも非常に難しいレベルの問題です。
この問題ですが、地球上の面積がどれくらいなのか知らなければ解答できません。
この面積は大体5億1,000万平方キロメートルと推定されますので、この数字を利用します。
その上で面積のうち陸地が3割程度となりますので、5億1,000万平方キロメートルを3/10にします。
これで面積の部分は求められます。
後はアリが何匹いるのかという話になります。
1平方メートルあたり2匹程度と推定した場合、以下の計算が成り立ちます。
この計算によって世界にいるアリの総数が算出されます。
この計算の答えは3億600万匹です。
ここまでを見てもわかると思いますが、フェルミ推定というのは色々な単位を覚えていないと計算ができません。
また、日本や世界の面積、総人口などの情報を知らなければ解答できない場合が多いのです。
まずはこうした情報をしっかり整理し、覚えるところから始めるといいでしょう。
フェルミ推定は解き方や考え方が非常に重要視される問題となります。
この解き方について見ていきましょう。
前提確認というのは、問題文の定義付けを行うことを指します。
人によって考え方が異なるため、情報共有を行って考え方を統一させていくのです。
この考え方が間違っていると、解答した内容が間違っているという事例に繋がります。
まずは相手企業側と前提確認を行ってください。
アプローチ設定というのは、何を基準として計算式を作るのかという部分を指します。
フェルミ推定では、色々なアプローチが求められますが、基本的には以下のジャンルでのアプローチが求められます。
この中のどれかを利用してアプローチして計算していくという必要があります。
このアプローチを間違えてしまうと、すべての計算が間違ってしまいます。
非常に重要な項目ですので、まずは最終的に算出しなければならない数字を基に、必要なアプローチを考えてください。
アプローチによって組み立てたものをモデル化という作業で分解していきます。
この分解というのは、計算式を作るために必要な要素ですので、アプローチが間違っているとモデル化にも間違いが生るため注意が必要です。
モデル化によって計算式を正しく作る必要があります。
先ほど紹介した全国の女性数を推定する問題では、日本の総人口から女性を算出するための計算を作らなければなりません。
ここで半分くらいが女性だとアプローチできていた場合、総人口×0.5という計算が成り立つのです。
こうして計算式をモデル化することにより、本当に必要な計算ができるようにする体制を整える必要があります。
アプローチが正しくても計算式が間違っていると問題に答えられません。
実際に計算して答えを算出します。
フェルミ推定では数字がかなり多くなる傾向もあるため、計算も非常に厄介ではあります。
ただ、落ち着いて計算すれば間違える心配はありません。
与えられた数字をしっかりモデル化した計算式に当てはめ、正しい数字を算出しましょう。
本当に算出された数字が正しいのか確認していきます。
この数字に間違いがなければ解答という形で出して構いません。
一方で明らかに乖離している数字が出された場合、アプローチやモデル化に問題があると判断できます。
1度最初からやり直すなどの考えも必要となるでしょう。
フェルミ推定は非常に難しい問題として出題される傾向があるものの、簡単な問題を解き続けることで回答する能力を身に付けられます。
まずはフェルミ推定の簡単な問題で練習するなどの対策を取りつつ、回答するために必要なフローチャート通りに進めていくように心がけましょう。
場合によってはかなり難しい問題が出題されますが、この場合は必要な数値などを頭の中で思い出してください。
特に日本や世界の面積、総人口といった数字は頭の中に入れておくと有利に進められます。